トーナメントはブラインドスチールが全て

 

スチールの概念

テキサスホールデムにおいて、プレイに値する手が中々入らないのは言うまでもありません。しかしそれは相手にも言えることで、大体は皆にとって都合の悪いハンドが配られるものです。この性質を突いてブラインドスチールと言う戦略が出てきます。ブラインドスチールは単にスチールとも言いますが、要はプリフロップで参加に値しないようなハンドでも、自分までフォールドで回ってくればレイズインしてブラインドを掠め取ろうというわけで、以前プロの間では稼ぎの種になっていました。

これはアンティの発生しているポーカーで、特にトーナメントの中盤以後には非常に重要な戦略となってきます。2001年WSOPメインイベントで優勝したカルロス・モーテンセンは「トーナメントはスチールが全てだ。」と言ったほどです。

しかしスチールはあまりにも一般的になってきたため、リスチールという対抗手段も現れ、簡単にはいかなくなってきています。

大事なのはどのタイミングでやるかです。ここではブラインドスチールを取り上げて分かりやすく説明したいと思います。

 

ブラインドスチールの基本

6人制トーナメントの中盤で3人が脱落しています。私のハンドはJ♣、7♥とクズ手ですが、ここはポジションがいいためスチールを試み3bbをベットしました。

 

二人からコールが入り3人でフロップを見にいくこととなりましたが、二人共チャックでしたのでセカンドヒットの私はポットの半分超えをベットしました。

 

二人共フォールドしポットを勝ち取ることができました。

このようにスチールはなるべくポジションのいい所からやるのが基本です。もしコールされてしまっても、フロップ以後ポジションを生かしたプレイができるからです。よってボタンの位置からやるのが一番理想的なのですが、ボタンの参加ハンドレンジはとても広く、どうせ大したハンドでないのだろうと見なされ、スリーベットのリスチールがとんでくることもしばしばあります。このためスチールを狙うポジションはカットオフ、ハイジャックと段々アーリーポジションの方へ近い人も狙うようになりました。

尚この場合は三人しかいませんでしたが、もっとたくさんのプレイヤーがいる時はスチールを狙う相手も重要になってきます。なるべく参加率が高くルーズにプレイしている人が一番いいターゲットです。

 

ブラインドスチールの失敗

6人制トーナメントの中盤5人が残っています。私はA♥2♥でアーリーポジションからスチール含みで、3bbでレイズインしました。

 

カットオフがコール、ボタンは$1028をオールインしてきました。

 

負けるとスタックの大半を失ってしまうためA♥2♥ではコールしきれず、皆もフォールドし、ボタンが大きなポットを勝ち取りました。

スタック/(SB+BB+アンテ×人数)をCSI(チップ・ステイタス・インデックス)といい、CSIが7以下の状態をショートスタックと言います。この例ですとボタンは1028/(40+80+10×5)≒6.047<7でショートスタックです。

トーナメントでショートスタックになりますとオールインが一般的な戦術となりますので、ショートスタックが後ろに控えている時はスチールを控えた方がいいです。こういう場合はオールインに耐えうるハンドを待つことになります。また逆にビッグスタックの人にも押し返され易いためスチールには慎重になった方がいいです。

尚ベット、コールがあるポットにスリーベット(リレイズ)することをスクイーズと言いますが、ショートすタックのオールインスクイーズは非常に有効な戦略です。

 

リスチール

6人制のトーナメントで5人が残っています。今ボタンが3bbにレイズし、スモールブラインドがフォールドし、ビッグブラインドの私にアクションは回ってきました。

 

TOT Steal(トータルスチール)が41と出ていますので、少し高目だ(ブラインドスチールやり過ぎてる)なっと思い、私のハンドはそれほど強いものではありませんが、レイズ額の3倍(リスチール)で押し返して見ることにしました。

 

相手はフォールドし、リスチールに成功しました。

これはホールデムマネージャー2を使わないと分かりませんが、TOT Stealが40%も越えている相手にはリスチールを試してみる価値は十分にあります。その時自分のハンドは何でもいいと思いますが、強いハンドでなければ、エクイティのあるハンドであれば尚いいです。仮に相手にコールされた場合でも、フロップに噛み合うことで、その後も強いアクションができるからです。

エクイティにあるハンドとは全てのペア(セットになる可能性がある)、フラッシュかストレートになるコネクター、或いはギャップコネクターです。参考までにリスチールの参考レンジ表を下記に記しておきます。

 

リスチールの参考レンジ

スーテッドハンド
オフ
スー
トの
ハン
AA AK AQ AJ AT A9 A8 A7 A6 A5 A4 A3 A2
AK KK KQ KJ KT K9 K8 K7 K6 K5 K4 K3 K2
AQ KQ QQ QJ QT Q9 Q8 Q7 Q6 Q5 Q4 Q3 Q2
AJ KJ QJ JJ JT J9 J8 J7 J6 J5 J4 J3 J2
AT KT QT JT TT T9 T8 T7 T6 T5 T4 T3 T2
A9 K9 Q9 J9 T9 99 98 97 96 95 94 93 92
A8 K8 Q8 J8 T8 98 88 87 86 85 84 83 82
A7 K7 Q7 J7 T7 97 87 77 76 75 74 73 72
A6 K6 Q6 J6 T6 96 86 76 66 65 64 63 62
A5 K5 Q5 J5 T5 95 85 75 65 55 54 53 52
A4 K4 Q4 J4 T4 94 84 74 64 54 44 43 42
A3 K3 Q3 J3 T3 93 83 73 63 53 43 33 32
A2 K2 Q2 J2 T2 92 82 72 62 52 42 32 22

 

まとめ

ブラインドスチールはトーナメントの中盤以後(アンティとブラインドが上昇している時)特に重要で、勝つために必要不可欠な戦略となてきます。レイトポジションにいる時自分までフォールドで回ってきたら、3bb以上にレイズしてブラインドを掠め取ることを意識しましょう。この時ブラインドスチールのターゲットになりやすいのは、平均くらいのスタックを持ち、参加率(VPIP)の高いルーズなプレイヤーです。ショートスタック後ろに控えている時はスチールは慎重になった方がいいです。

またブラインドスチールを頻繁に行っている(レイトポジションから頻繁にレイズインしてくる)プレイヤーがいれば、スリーベットしてリスチールを試みるのがいいです。リスチールはベットサイズが大きいため、ポジションが悪いならばエクイティのあるハンドでやるのがベストです。

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