スクイーズ

2023.7.31 記事編集

ポーカーをやった次の日は大体寝不足になります。トーナメントが大体深夜までかかるからです。そして大体予期せぬところで突然負け、一気に疲労感が出てきます。長くやるには体調管理も大切だなっと思う今日この頃です。これを毎日やったらさすがにしんどいです。面白いのですけどね。

 

トップセカンドツーペア

$4.5K保証トーナメント 9人テーブル ブラインド$15/30 ポット81(アンティ4)

プリフロップ:UTG1 $4996 UTG2(私) $4996 ♥A,♦T BB $4966

トーナメントの最初のハンドでA,Tオフスーツが配られるのは決して悪い気はしません。トーナメントの最序盤は始まったばかりで誰もとびたくないため、全体的に割とタイトにプレイしすぎるきらいがあり、そこに付け込んでいきたいといつも思っているのですが、そこそこのハンドがないとやはりためらってしまいます。A,Tオフスーツくらい強ければ何も問題はありません。

UTG1がリンプし、私のアクションの番です。決してフロップを見に行きたいという手でもないので、私は$120へレイズしました。それに対してBBとUTG1がコールしてきました。

 

フロップ:♥T,♣A,♦4 ポット411

トップツーペアでスートもバラバラです。負けてるとしたらセットですがレンジに占めるその割合は低いです。ほぼ勝ちを確信している私は如何にポットを大きくするかだけを考えています。二人はチェックしてきました。ここはベットしたいところですが、あまり大き過ぎてはいけませんのでポットのハーフサイズを打ちました。

するとBBは$570へチェックレイズし、UTG1はフォールドしました。これは少し意外でしたが望むところです。私は$1500までリレイズしました。UTG1はコールしてきました。

 

ターン:♣J ポット3411

相手はチェックしてきました。セットならフロップで更にレイズしたと思いますので、Aと強いキッカー辺りを想定しました。だとしたら降りにくいだろうと思い、私は全額ポットへ入れるよう$3376をオールインしました。相手は少し時間をおきコールで応じてきました。

 

ショーダウン

相手は予想通りA,Kを開いてきました。リバーでは♦6が落ちて私がポットを勝ち取りました。

1ハンド目でダブルアップに成功し大きなアドバンテージを得ることができました。相手のベストのプレイは、Aのトップヒットトップキッカーでは降りにくいかもしれませんが、それでもフロップでリレイズされたところでフォールドすることだったと思います。

 

ポットを小さく保つ

$4.5K保証トーナメント 9人テーブル ブラインド$25/50 ポット129(アンティ6)

プリフロップ:MID2(私) $10918 ♠J,♦A BTN $7122 SB $5309

A,Jオフスーツは必ずどのポジションからもオープンしますが、Aがヒットした時はキッカーが決して強いとは言えないため用心しなくてはいけません。私は$150でオープンしました。これに対してBTNとSBがコールしてきました。

 

フロップ:♥4,♣A,♠6 ポット554

SBがチェックしました。いよいよAがヒットし用心しなければいけなくなりました。ここでスロープレイはあり得ず、必ずベットしなければいけないところです。このまま相手にリードを与えて、それについていくのは危険だからです。

私は$400をベットしました。BTNはコールし、SBはフォールドしました。

 

ターン:♠7 ポット1354

私はこれ以上ポットを大きくするつもりはなく、安くショーダウンしたいところです。私はチェックしました。すると相手は$550をベットしてきました。この額はポットの4割程度しかなく、コールで応じざるを得ませんでした。

 

リバー:♦7 ポット2454

このカードでは状況は何も変わっていないはずです。私はチェックし、相手もチェクしました。

 

ショーダウン

相手は♠A,♦Kを開き相手がポットを獲得しました。

私はターン以降弱みを見せていますので、相手がリバーでベットすればもう少し私から巻き上げることができたと思います。

 

スクイーズとは

スクイーズとはプリフロップでレイズ、コールが入っている時、大きくリレイズしてポットを取りにいくプレイを指します。プリフロップのコールのレンジには大体強いものは入っていなく、投機的な手であることがほとんどです。中程度以下のペアでセット狙いとか、スーテッドコネクタ系でストレートやフラッシュ狙いと言った、つまり安くフロップを見にいきたいという表れです。そういうハンドは決して強いハンドとも言えず、大きくリレイズされてしまったら降りることがほとんどです。スクイーズとはそこを突くのが狙いです。

 

スクイーズを試みる状況

$4.5K保証トーナメント 9人テーブル ブラインド$25/50 ポット129(アンティ6)

プリフロップ:MID1 $9273 MID2 $8079 BTN(私) $10639 ♣A,♠Q

MID1が$400でオープン、MID2がコールしてきました。MID1はVPIPが43ととても高くオープンレンジはとても広いと言えます。私の方にはポジションがありA,Qオフスーツという強いハンドです。ここはスクイーズするタイミングだと思いませんか。私は$1600へレイズしました。これに対してMID1だけがコールしてきました。

 

フロップ:♥9,♣3,♣9 ポット4062

相手はチェックしてきました。恐らく噛み合わなかったのだろうと思い、オーバーカード2枚とバックドアの私は引き続き$2800をコンティニューエーションベットしました。

相手はフォールドし私がポットを獲得しました。スクイーズ失敗しても強気なプレイを継続すれば、相手はフロップで何もできない限りプレイをするのは難しいと思います。スクイーズはコールされた時ポットが大きくなりますので、フロップ後のポジションは特に大きいと思います。

 

スクイーズのレンジと適正ベット額

MIDのオープン、BTNのコール、こちらがBBでAJスーテッド。こんな状況もスクイーズに値します。参加したプレイヤーのVPIPが以上に高くラフに参加しているという事でもない限り、基本はスクイーズのレンジはリレイズのレンジと一緒です。ポジションが無い場合は猶更ですが、ポジションがある場合は少しレンジを広めても、フロップ後にポジションがアドバンテージとなってくれます。

 

そしてベット額ですが、ポットの2.5~3くらいが適正額となります。普通のレイズより少し額が大きいのはコールが入っているからです。スクイーズはスチールの一種で、フロップを見にいくというよりも、プリフロップでポットを取ってしまうのが狙いですので、その場の全員に諦めさせる額を突きつけます。相手は2人共フォールドしてくれました。

 

ポーカースターズ

トーナメントはブラインドスチールが全て

 

スチールの概念

テキサスホールデムにおいて、プレイに値する手が中々入らないのは言うまでもありません。しかしそれは相手にも言えることで、大体は皆にとって都合の悪いハンドが配られるものです。この性質を突いてブラインドスチールと言う戦略が出てきます。ブラインドスチールは単にスチールとも言いますが、要はプリフロップで参加に値しないようなハンドでも、自分までフォールドで回ってくればレイズインしてブラインドを掠め取ろうというわけで、以前プロの間では稼ぎの種になっていました。

これはアンティの発生しているポーカーで、特にトーナメントの中盤以後には非常に重要な戦略となってきます。2001年WSOPメインイベントで優勝したカルロス・モーテンセンは「トーナメントはスチールが全てだ。」と言ったほどです。

しかしスチールはあまりにも一般的になってきたため、リスチールという対抗手段も現れ、簡単にはいかなくなってきています。

大事なのはどのタイミングでやるかです。ここではブラインドスチールを取り上げて分かりやすく説明したいと思います。

 

ブラインドスチールの基本

6人制トーナメントの中盤で3人が脱落しています。私のハンドはJ♣、7♥とクズ手ですが、ここはポジションがいいためスチールを試み3bbをベットしました。

 

二人からコールが入り3人でフロップを見にいくこととなりましたが、二人共チャックでしたのでセカンドヒットの私はポットの半分超えをベットしました。

 

二人共フォールドしポットを勝ち取ることができました。

このようにスチールはなるべくポジションのいい所からやるのが基本です。もしコールされてしまっても、フロップ以後ポジションを生かしたプレイができるからです。よってボタンの位置からやるのが一番理想的なのですが、ボタンの参加ハンドレンジはとても広く、どうせ大したハンドでないのだろうと見なされ、スリーベットのリスチールがとんでくることもしばしばあります。このためスチールを狙うポジションはカットオフ、ハイジャックと段々アーリーポジションの方へ近い人も狙うようになりました。

尚この場合は三人しかいませんでしたが、もっとたくさんのプレイヤーがいる時はスチールを狙う相手も重要になってきます。なるべく参加率が高くルーズにプレイしている人が一番いいターゲットです。

 

ブラインドスチールの失敗

6人制トーナメントの中盤5人が残っています。私はA♥2♥でアーリーポジションからスチール含みで、3bbでレイズインしました。

 

カットオフがコール、ボタンは$1028をオールインしてきました。

 

負けるとスタックの大半を失ってしまうためA♥2♥ではコールしきれず、皆もフォールドし、ボタンが大きなポットを勝ち取りました。

スタック/(SB+BB+アンテ×人数)をCSI(チップ・ステイタス・インデックス)といい、CSIが7以下の状態をショートスタックと言います。この例ですとボタンは1028/(40+80+10×5)≒6.047<7でショートスタックです。

トーナメントでショートスタックになりますとオールインが一般的な戦術となりますので、ショートスタックが後ろに控えている時はスチールを控えた方がいいです。こういう場合はオールインに耐えうるハンドを待つことになります。また逆にビッグスタックの人にも押し返され易いためスチールには慎重になった方がいいです。

尚ベット、コールがあるポットにスリーベット(リレイズ)することをスクイーズと言いますが、ショートすタックのオールインスクイーズは非常に有効な戦略です。

 

リスチール

6人制のトーナメントで5人が残っています。今ボタンが3bbにレイズし、スモールブラインドがフォールドし、ビッグブラインドの私にアクションは回ってきました。

 

TOT Steal(トータルスチール)が41と出ていますので、少し高目だ(ブラインドスチールやり過ぎてる)なっと思い、私のハンドはそれほど強いものではありませんが、レイズ額の3倍(リスチール)で押し返して見ることにしました。

 

相手はフォールドし、リスチールに成功しました。

これはホールデムマネージャー2を使わないと分かりませんが、TOT Stealが40%も越えている相手にはリスチールを試してみる価値は十分にあります。その時自分のハンドは何でもいいと思いますが、強いハンドでなければ、エクイティのあるハンドであれば尚いいです。仮に相手にコールされた場合でも、フロップに噛み合うことで、その後も強いアクションができるからです。

エクイティにあるハンドとは全てのペア(セットになる可能性がある)、フラッシュかストレートになるコネクター、或いはギャップコネクターです。参考までにリスチールの参考レンジ表を下記に記しておきます。

 

リスチールの参考レンジ

スーテッドハンド
オフ
スー
トの
ハン
AA AK AQ AJ AT A9 A8 A7 A6 A5 A4 A3 A2
AK KK KQ KJ KT K9 K8 K7 K6 K5 K4 K3 K2
AQ KQ QQ QJ QT Q9 Q8 Q7 Q6 Q5 Q4 Q3 Q2
AJ KJ QJ JJ JT J9 J8 J7 J6 J5 J4 J3 J2
AT KT QT JT TT T9 T8 T7 T6 T5 T4 T3 T2
A9 K9 Q9 J9 T9 99 98 97 96 95 94 93 92
A8 K8 Q8 J8 T8 98 88 87 86 85 84 83 82
A7 K7 Q7 J7 T7 97 87 77 76 75 74 73 72
A6 K6 Q6 J6 T6 96 86 76 66 65 64 63 62
A5 K5 Q5 J5 T5 95 85 75 65 55 54 53 52
A4 K4 Q4 J4 T4 94 84 74 64 54 44 43 42
A3 K3 Q3 J3 T3 93 83 73 63 53 43 33 32
A2 K2 Q2 J2 T2 92 82 72 62 52 42 32 22

 

まとめ

ブラインドスチールはトーナメントの中盤以後(アンティとブラインドが上昇している時)特に重要で、勝つために必要不可欠な戦略となてきます。レイトポジションにいる時自分までフォールドで回ってきたら、3bb以上にレイズしてブラインドを掠め取ることを意識しましょう。この時ブラインドスチールのターゲットになりやすいのは、平均くらいのスタックを持ち、参加率(VPIP)の高いルーズなプレイヤーです。ショートスタック後ろに控えている時はスチールは慎重になった方がいいです。

またブラインドスチールを頻繁に行っている(レイトポジションから頻繁にレイズインしてくる)プレイヤーがいれば、スリーベットしてリスチールを試みるのがいいです。リスチールはベットサイズが大きいため、ポジションが悪いならばエクイティのあるハンドでやるのがベストです。