コンティニュエーションベットを打つ状況と適正サイズと頻度

2023.5.18 記事編集

ポーカーで多用される有力なプレイの一つとしてコンティニュエーションベットというのがあります。これはプリフロップで最後にレイズをした人(ベッティングリードを持っている人)がフロップでも引き続きベットすることです。何もヒットしなくてもベットしますのでブラフの一形態にもなります。

ペアで無いハンドがフロップでペア以上になる確率は32.4%ですので、大体3回に2回は外すことになります。この点を突いたプレイで、プリフロップでレイズをして強みを見せた相手が、フロップでも引き続きベットをしてきたら、こちらに何もヒットしていなかった場合は打ち返しにくくありませんか。大体は降りることになり、ベットした者が利益の出るプレイとなります。

ここではどういった場面でコンティニュエーションベットを打てばいいのか、その適正額はどれくらいなのか、コールされたり打ち返された場合はどうせればいいのかを見ていきます。

 

典型的なコンティニュエーションベット

アンティ$6、ブラインド$25/50のプリフロップで、COの私(A♠K♣)までフォールドで回り、今3BBへレイズしたところです。SBとBBがコールしてきました。この時点で私にベッティングリードがあります。

 

フロップで7♦Q♦7♣と落ち、二人共チェックしました。私も何もヒットしませんでしたが相手が弱味を見せてきていますので、ポットの半分強を引き続きベットしました。

 

二人共フォールドして私がポットを獲得しました。こんな感じになります。

 

コンティニュエーションベットの判断材料

コンティニュエーションベットはトーナメントでもキャッシュゲームでも大事な戦略になり、大体5.5~7.5割くらいの頻度で打つ必要があります。打つかどうか判断する上で一番大事なのは、残っている人数とボードテクスチャー、ポジション、相手のタイプ、自分のテーブルイメージになります。ベットの適正サイズはポットの5~7.5割くらいがスタンダードです。

 

残っている人数

少なければ少ないほど相手がフロップでヒットした可能性が低くなりますので、コンティニュエーションベットの成功率は高くなります。相手が3人以上いてこちらにポジションが無い場合は素直にプレイする方がいいです。

 

ボードテクスチャー

Q♥6♣3♦のような、ハイカード1枚+コネクタでないローカードでスーツも不揃いといったボードがコンティニュエーションベットには一番適しています。

また上の例(7♦Q♦7♣)のようにボードにハイカード+ぺアができた時はヒットしている可能性が低くなりコンティニュエーションベットを打ちやすいです。この場合は相手が2~3人くらいいても有効です。

同じようでも3♦3♣8♥のようなロー固まりペアの場合は、相手にペアがあると激しく抵抗されますのでコンティニュエーションベットは止めた方が無難です。7♦Q♦7♣の場合ですと、相手にミドルペアがあってもオープンレンジの自分にQがヒットしている可能性があり、アグレッシブにベットされますと付いて行くのが躊躇われますが、3♦3♣8♥ではオープンレンジに8が含まれる組み合わせは少なくなるからです。

J♥7♣8♣のようなミドルコネクターを含むようなボードは、相手のコールのレンジに激しくヒットしている可能性がありとても危険です。

K♠Q♠J♠のようなモンスーンボードは一見危険そうですが、相手もそれは同じなため、少し大き目のポットサイズくらいのベットを打てばブラフが成功しやすいです。

同じように8♥4♥3♥のようなモノトーンボードでは、相手にA♥でも無ければ仮にフラッシュができても負ける可能性があるため、非常にブラフは成功しやすいです。

 

ポジション

コンティニュエーションベットにもやはりポジションは大きく、いいほうが当然いいです。悪いポジションでコンティニュエーションベットを多用すると、相手に見抜かれてフロート(何も手が入っていなくてもコールされる。)ケースが出てくるからです。ターンでハンドが良くならなければ最初にアクションをするのはこちらですから、大抵の場合は諦めるという非常に苦しい決断を迫られます。

 

相手のタイプ

コンティニュエーションベットは、何もヒットしなければ降りてくれる自分のハンドに正直にプレイするタイプに有効です。何でもかんでもコールでついてくるタイプ、コンティニュエーションベットの知識がある上手い相手には少し控えないといけません。

 

自分のテーブルイメージ

今までのプレイから自分がテーブル内でどう思われているかも重要になってきます。タイトなイメージを持たれている方が当然成功しやすいです。逆にやる頻度があまりにも高いと、相手にも見抜かれ打ち返されるケースが増えてきます。

 

HUDでチェックしよう

コンティニュエーションベットは5.5~7.5割くらいの頻度で打つのが大体上手いプレイヤーということになりますが、これを今までの履歴から統計してくれるツールがあります。これがHUDです。人間の感覚と実際の統計は案外ずれがあるものですから、これを使ってプレイして下さい。

 

コンティニュエーションベットの具体例

ドライなボード

プリフロップでブラインドスチールを試みBTNから3BBでオープン、BBがコール。フロップでドライなボードでBBがチェック。私が4BBをベットします。相手はフォールドしました。

この場合は恐らく相手が何もヒットしていないと予想できます。

これも全く同じ状況です。プリフロップでリードがあり、フロップで相手がチェックしてきたら、ポットの6割弱もベットすればそのままポットを取れるケースが多いです。

 

Aのリプレゼント

プリフロップでブラインドスチールを試みBTNから3BBでオープン、BBがコール。フロップでAを含むカードが落ちBBがチェック。私が3.5BBをベットします。相手はフォールドしました。

この場合はA持ちをリプレゼントできます。Aのリプレゼントは成功する可能性が高いです。

 

ペアボード

プリフロップでHJの2BBのオープンに対してCOの私は6.5BBにリレイズし、HJはコール。フロップでローペアボードで相手がチェック。私が9.5BBをベットします。相手はフォールドしました。

JTスーテッドのようなハンドはリレイズせずにコールで入ってもいいような気がするかもしれませんが、フロップで絡み合う可能性はそれでも低く、その時は強気を示している方がコンティニュエーションベットが成功しやすいです。またこの手のボードはポットに比して少し大き目にベットする方が、何もヒットしていない相手を降ろせやすいし、スロープレイしていないかも見抜けます。

 

プロテクトバリューベット

プリフロップでUTGが3BBでオープン、BTNの私が9BBにリレイズ、UTGがコール。フロップでややウェットなボード。UTGが3BBをベット。私が11BBにリレイズします。相手はフォールドしました。

ペアハンドでは相手が一人の場合は、やはりコールよりもリレイズでリードを取りたいところです。フロップでセットになる確率は低いので、やはりプリフロップでのリードがものを言うのです。フロップで相手はミニマムベットをしてきましたが、相手のレンジはハイカード、ドローと、安くターンを見たがっている気がしますので、いずれも完成されたハンドとは思えず、大き目に打ち返すと降りてくれます。この場合は絡み合いの強いフロップですので、プロテクトしながらバリューを得るベットとなります。

 

コンティニュエーションベットをしない方がいい例

プリフロップでUTGのリンプに対してBBから5BBまで上げ、相手がついてきました。フロップでセカンドヒットとフラッシュドローがヒットしました。ポジションが悪く、ターン以降のカードも見たく、ショーダウンバリューもあります。こういう場合はチェックします。この場合はそのままショーダウンへいきそのままポットを勝ち取りました。

 

ポジションとリードがコンティニュエーションベットを成功させる秘訣

コンティニュエーションベットを成功させる秘訣は、プリフロップでポジションのある位置からリードを取ってフロップへ進むことです。以降フロップで相手がチェックした時は、ベットしますとそのままポットを取れることが多いです。

相手の立場に立ってみて考えて下さい。プリフロップでレイズに対してこちらがコールし、フロップで何もヒットしなくて最初のアクションを取る時はどうでしょうか。リードが無いためベットしにくくありませんか。そしてホールデムではそういうケースが頻発するのです。ですのでこの苦しい立場に相手に立ってもらおうというわけです。

またポジションかリードがありますとポットコントロールもしやすいです。

 

ポーカースターズ

ポットオッズとインプライドオッズ

ポーカーにおいて自分のハンドの勝率と、勝った場合に得られるであろうポットの大きさはアクションを決定する上で重要になります。例えばジャンケンなどの勝率1/2の賭けで、勝てば賭けた金額の2倍貰えるとなれば、やったとしてもやらなかったとしても長期的には損得無しということになります。しかし賭けた金額の3倍貰えるとなればどうでしょうか。勝ち負けを1クールとすれば、1クール毎に賭け金1単位が増えることとなり、これはやった方が得ということになります。また逆に賭けた金額の1/2貰えるとなれば、1クール毎に賭け金の1/2を失うこととなり、これはやると損します。ポーカーでも随所にこの概念を必要とし、最終的には正しい決断を一番多くできたものが利益を生み易いのです。

 

 

ポットオッズ

相手も私も$2500持っており、プリフロップでポットは$5000になってたとします。フロップで相手はオールインしてきました。ポットは$7500になっており、これをコールするかどうかまずはオッズを求めます。ポットオッズ=ポットへ入れる金額/ポットへ入れた後のポットの総額として求まります。

この場合2500/(7500+2500)=1/4となり、つまり1の投資に対して4のリターンということになります。よって勝率が25%以上あれば見合う計算となり、コールは正しいです。言い換えると4回に1回以上勝てればいいということです。一方25%無ければ理論上は正しい決断とは言えません。また丁度25%ならトントンでコールしてもしなくても長期的には±0になります。これをブレイクパーイーブンパーセンテージ(BEP)といいます。

例) 自分のハンド6♠7♠ フロップA♠K♥2♠

相手がAかKをヒットさせたらしく、ポット$5000に対して$2500をオールイン

リバーまでフラッシュが完成する確率は約35%ですので、勝率はポットオッズに十分見合っておりコールは正しいアクションということになります。

 

インプライドオッズ

ポットオッズの場合ですと相手がオールインした時点で相手の金額は$0になってしまうため、計算は比較的容易ですが、ベットだった場合はどうでしょうか。この場合は将来得られるであろう金額からオッズを計算する必要があり、これをインプライドオッズといいます。インプライドオッズ=ポットへ入れる金額+将来必要なコール額/最終的なポットの総額として求まり計算が少々煩雑になります。言い換えると現時点でのポットオッズは合わなくても、最終的には膨れ上がるだろうと予測できればインプライドオッズによりコールも妥当性を得るということです。

例) 自分のハンド2♥2♣

相手も私も$2500持っており、ポット$240に対して、相手が$480へレイズしてきた

フロップでセットが完成し、相手の強さうなカードがヒットすれば有り金全部奪えそうだが、もしヒットしなかったらこのままおとなしくチェックフォールドするとします。インプライドオッズは480/(240+480+480+2020)≒0.15、フロップでセット以上になる確率は約11.8%ですので、勝率がインプライドオッズに見合わずフォールドするのが正しい決断と言えます。

 

ポット比率ベットに対するオッズとBEP、必要なアウツの数
ポットに対して相手がベットしてきた金額 ポットオッズないしインプライドオッズ BEP 2枚のカードを引く際に必要なアウツの数 1枚のカードを引く際に必要なアウツの数
ポットの1/4 1/6 約17% 5枚 9枚
ポットの1/3 1/5 約20% 5枚 10枚
ポットの1/2 1/4 約25% 7枚 13枚
ポットの2/3 2/7 約29% 8枚 15枚
ポットの3/4 3/10 約30% 8枚 15枚
ポットサイズ 1/3 約33% 9枚 17枚
ポットの2倍 2/5 約40% 10枚 20枚

フロップで相手がポットサイズ以下でオールインしてきた場合、フラッシュドローかストレートドロー(ガットショットを除く)ならコールが正しい。

ターンで相手がハーフポット以上でオールインしてきた場合、フラッシュドローかストレートドロー(ガットショットを除く)でコールするのは間違いである。

 

アウツ

アウツとはこれを引いたら勝てるだろうと思われるカードの枚数を表します。例えば6♠7♠を持ってたとしてボードに4♥5♠A♦が落ちたとします。この後ターンかリバーで3か8が落ちればストレートが完成して勝てそうな場合、アウツは8枚(3♠3♣3♥3♦8♠8♣8♥8♦)ということになります。アウツの数によって勝率を概算することができます。この場合は以下の計算になります。

1-(39/47×38/46)=1-1482/2162=680/2162≒0.3145 約31.5%
ターンとリバーで3か8が落ちない確率の余事象を求めます。

よって約31.5%の確率でターンかリバーでストレートが完成するということになります。

 

フロップ時のアウツによるターンかリバーでの完成率
アウツ ターン(%) リバー(%)
15 31.9 54.1 オープンエンドストレートフラッシュドロー
14 29.8 51.2
13 27.7 48.1
12 25.5 45.0 ガットショットストレートフラッシュドロー
11 23.4 41.7
10 21.3 38.4
9 19.1 35.0 フラッシュドロー
8 17.0 31.5 オープンエンドストレートドロー
7 14.9 27.8
6 12.8 24.1
5 10.6 20.4
4 8.5 16.5 ガットショットストレートドロー
3 6.4 12.5 ペア
2 4.3 8.4 トリップス
1 2.1 4.3 クワッズ

 

2倍の法則と4倍の法則

上表よりフロップ時にアウツに2を掛ければターンで、4を掛ければリバーまでで役が完成する確率に近似することが分かります。例)フラッシュドロー 9×2=18≒19.1 9×4=36≒35.0

これを2倍の法則、4倍の法則といいます。ターン時ではアウツに2を掛ければリバーの役が完成する確率が求まります。尚4倍の法則はアウツが多くなるほど近似確率が大きくなって実際の確率と乖離してきます。

 

実戦例

例1)

アンティ$10、ブラインド$40/80のプリフロップで、SBの私(J♣T♣)までフォールドで回り、私が$200へレイズしたところBBからコールが入って、フロップで5♦6♣3♠が落ち、私がチェックしたところBBが$80をベットしたところです。ポットオッズは80/(540+80)≒0.13、アウツは6枚(JとT)ですので、ターンでアウツを引ける確率は2倍の法則より約12%です。大体等しいですのでコールでいいかと思います。

 

リバーでQ♣が落ち、ランナーランナーまで得てアウツが9枚(♣のカード)増えました。ここでチェックしますと相手はまた$80をベットしてきました。ポットオッズは80/(620+80)≒0.114、アウツは合計15枚ですのでリバーでアウツの引ける確率は2倍の法則より約30%です。勝率はポットオッズに比べて十分大きいですのでやはりコールが正しいです。

 

リバーでは5♠が落ち、お互いにチェックして、ショーダウンで9♠9♦を開いた相手がポットを勝ち取りました。ビッグスタックの相手はショートスタックの私に何を怯えていたのかは分かりませんが、フロップでオーバーペアならポットの半分~3/4はベットした方がいいです。リバーでもドローを消すためポットの3/4はベットした方がいいです。これならドローを引かせて貰うチャンスは私にはありませんでした。今回のような安いベット額は、安くアウツを引かせるようなもので長期的には相手が損と言えます。

 

例2)

ヘッズアップ、アンティ$25、ブラインド$150/300のプリフロップでSBの私(4♦T♦)は$600にレイズし相手がコール、フロップで8♣9♦6♦が落ちフラッシュドローを引き当て、相手がチェックレイズオールインしてきたところです。ポットオッズは1558/(3608+1558)≒0.3、アウツは♦の9枚ですのでリバーまで引ける確率は4倍の法則より約36%です。勝率はポットオッズに比べて十分大きいですのでコールが正しいです。

 

ターンでK♠、リバーでJ♦が落ち、フラッシュを完成させた私がポットを獲得しました。